国際保健用語集

用語 国際協力銀行
概要 (英語訳 : ) 
日本輸出入銀行と海外経済協力基金(OECF)が統合して1999年10月1日に発足した政策金融機関である。国際協力銀行は、我が国の健全な発展のため、主体的な役割を積極的に担っていくことを目的として、1)我が国の輸出入および海外経済活動の促進、2)開発途上地域の経済社会開発・経済安定化への支援、3)国際環境の安定化への貢献という使命を掲げている。政府開発援助との関係で言えば、開発途上国の経済・社会開発を支援する「海外経済協力業務」がある(非ODA部門として、「国際金融等業務」がある)。資本金は海外経済協力業務で6兆5043億円(2003年3月31日現在)で、世界銀行をしのぐ世界最大規模となっている。技術協力の実施機関である国際協力機構(JICA)に対し、国際協力銀行は円借款を中心とした資金協力の実施機関として位置づけられている。  
用語 国際女性年
概要 (英訳:International Women’s Year)

1966年「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」、1967年「女性に対する差別撤廃宣言」の採択を受け、1972 年第27回国連総会において決議された国際年。男女平等の推進、経済・社会・文化への女性の参加、国際平和と協力への女性の貢献を目標に世界的な活動を行うために、1975年を国際女性年とした。これに合わせる形で、国連はメキシコ・シティーで初の女性に関する全世界的な会議である「国際女性年世界会議」を開催し、メキシコ宣言と世界行動計画とを採択した。また、同年12月の国連総会において、続く1976~85年を「国連女性の10年」に指定し、世界中の女性が一堂に会して、その権利を保障し、拡大する話し合いの場を提供した。会議は5~10年毎に開催され、第2回はコペンハーゲン(1980年)、第3回ナイロビ(1985年)、第4回北京(1995年)、2000年には国連特別総会「女性2000年会議」が米国のニューヨークで開催された。また1975年には、3月8日が「国際女性の日」と定められ、1977年の国連総会は各国の歴史、国民的伝統や習慣に沿うかたちで、任意の日を「女性の権利と国際平和を推進する日」として制定するよう呼びかけた。
(池上清子)
用語 国際疾病分類
概要 (英語訳:ICD, International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems)

正式には、International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems 疾病及び関連保健問題の国際統計分類の事である。

異なる国や地域から、異なる時点で集計された死亡や疾病のデータの体系的な記録、分析、解釈及び比較を行うため、世界保健機関憲章に基づき、世界保健機関(WHO)が作成した分類である。起源としては、1950年代に死因(Cause of Mortality)のリストとしてはじめられたものであり、1893年に国際統計協会(the International Statistical Institute)が使用するようになり、約10年ごとに改定が行われちた。死因だけではなく疾病原因(Cause of Morbidity)を含む第6版が出版された1948年に、WHOが責任機関として引き継ぐこととなった。

最新の分類は、ICDの第10回目の修正版として、1990年の第43回世界保健総会において採択されたものであり、ICD-10と呼ばれている。現在、我が国では、一部改正の勧告であるICD-10(2003)に準拠した「疾病、傷害及び死因分類」を作成し、統計法に基づく統計調査に使用されるほか、医学的分類として医療機関における診療録の管理等に活用されている。(仲佐保)
用語 国際緊急援助隊
概要 (英語訳:JDR, Japan Disaster Relief Team)

日本の海外における災害に対する国際緊急援助は人的援助と物的援助があるが、国際緊急援助隊は人的援助に含まれる。1979年に内戦でタイに脱出したカンボジア難民に対して政府医療チームを派遣したのがきっかけになり、日本政府は1982年に国際緊急医療チーム(JMTDR)を設立した。紛争に起因しない人為的災害や自然災害に対応するという法整備(1987年 国際緊急援助隊は派遣に関する法律(JDR法))が行われ、各種チームが派遣されるようになった。5つのチームで構成されている。

1)医療チーム:現地で医療活動を実施。医療チームとして、タイプ2の国際認証を受け、入院や手術を実施展開できる(派遣実績は57回 2018年9月現在)。
2)救助チーム:要救助者の捜索、救助、応急処置、移送に当たる。国際捜索救助諮問グループが定めるヘビー級を2010年3月に認定取得した(派遣回数20回 2018年9月現在)。
3)感染症対策チーム 2015年10月 発足。疫学、検査診断、診療・感染制御、公衆衛生対応、ロジスティックからなる。(派遣実績は2回 2018年9月現在)。
4)専門家チーム 被害の発生・拡大を防止する助言や指導を行う。関係省庁・自治体などの各分野の専門家から構成される(派遣回数 49回 2018年9月現在)。
5)自衛隊部隊:被災状況広範囲・大規模であるときに、自衛隊員によって、輸送、給水、医療・防疫を実施する(派遣回数 19回 2018年9月現在)。(高橋宗康)
用語 国際開発協力銀行
概要 (英語訳:JBIC, Japan Bank for International Cooperation)

1999年に日本輸出入銀行と海外経済協力基金を統合して発足した特殊銀行。相互依存の進む国際経済の健全な発展に貢献することを目的としている。民間金融機関の活動を補完・奨励しつつ以下の業務を行ってきた。1)日本にとって重要な資源の海外における開発及び取得の促進、2)日本産業の国際競争力の維持・向上、3)国際金融秩序の混乱への対処。2008年に予定される組織改変において、国際金融等業務は株式会社日本政策金融公庫へ統合されるが、国際協力銀行からの承継業務を運営する際には、「国際協力銀行」という名称を引き続き対外呼称として使用する。海外経済協力業務は国際協力機構(新JICA)に統合される。(山本太郎)