国際保健用語集

用語 プロジェクト・サイクル・マネイジメント
概要 (英語訳:PCM, Project Cycle Management) 

プロジェクトとは一定の予算と期間内に,定められた目標を達成する事業のことであり, 計画・立案,実施,モニタリング,評価という段階から成り立ち,このサイクルが新たなプロジェクトの計画・立案に結びついて行くように,サイクルの発展を伴う.このサイクルをいかに効率効果的に運営管理するかがプロジェクト・マネイジメントといえよう.

PCM手法は,「一貫性」,「論理性」,「参加型」という大きな特徴を持っている.「一貫性」とは,プロジェクトの計画・立案,実施,評価の各段階が,この手法に沿って作成される事業の主要要素を論理的に示すPDM(プロジェクト・デザイン・マトリクス)と呼ばれる概要表に基づいて行われるからである.つまり計画・立案,実施,評価のすべての段階で同一PDMを用いることにより,プロジェクトを「一貫性」を持って運営管理することが可能となる.「論理性」とは,立案へ至る分析段階で「原因-結果」,「手段-目的」という論理的な視点で事象を捉え分析し,また,一定の論理構成でPDMを作成することによる.PDMが論理的枠組み(Logical Framework)と呼ばれる所以でもある.

「参加型」とは,想定されるプロジェクトに関係するステークホルダーと呼ばれる様々な組織,団体,個人がプロジェクトの計画段階から参画することにより,利害や立場の違いを計画に反映させることが可能となる.

このPCM手法は,大きく「参加型計画手法」,「モニタリング・評価手法」の2つの分かれる.「参加型計画手法」は,さらに,参加者分析,問題分析,目的分析,プロジェクトの選択からなる分析段階とPDM作成,活動計画表作成からなる立案段階に分かれている一般にこの一連の作業をプロジェクト形成時にその段階に応じて数回行うほか,プロジェクト開始後中間時ならびに完了時に行うことを原則としている.このPCM手法は、プリシード・プロシードモデルやPATCHのように健康づくりに特化された形で開発された手法ではなく、広く「開発」や問題解決を目指した事業の計画・実施・評価のために開発された手法といえる。(兵井伸行)