国際保健用語集

用語 参加型農村調査
概要 (英語訳:PRA, Participatory Rural Appraisal)

近年、プロジェクトの立案や評価に住民の参加の必要性が認識されるようになり、チェンバースらが提唱した参加型調査手法の一つ。他にも、RRA(Rural Rapid Appraisal:迅速農村調査)、PLA(Participatory Learning and Action:参加による学習と行動)などの参加型調査手法がある。開発援助プロジェクトの多くが専門家の主導により実施されてきたことに対する批判から生まれ、住民がプロジェクトの企画立案、実施、評価にいたるすべての過程において、主体的に参加するべきであるという参加型開発(Participatory Development)の理念に基づいている。これらの参加型調査手法においては、外部者の役割は、地域住民の学びのプロセスを手助け(ファシリテート)することにある。

近年は、国際機関、ドナー機関、NGOなどが参加型手法を用いてプロジェクトの立案や評価を行うことが多くなった。しかし、どのように「参加型」を謳ってみても、一定の資金と期間を限定したプロジェクトを実施するという外部機関の意志と、伝統と文化の中で生きてきた地域住民の行動様式や時間軸の間には大きなギャップが存在する。参加型手法の限界性を認識した上で、使用すべき調査法であると思われる。(中村安秀)
用語 国連人道問題調整事務所
概要 (英訳 UNOCHA United Nations, Office for the Coordination of Humanitarian Affairs)

通称はOCHAと呼ばれる。1992年に設置された国連人道問題局(UNDHA:Department of Humanitarian Affairs)が、1998年に改組され、多発する複合災害(Complex emergencies)や、自然災害に対する国連の人道援助活動能力の強化と、人道NGOなどとの連携調整を行う。以前、各国連機関が個別に提出していたConsolidated Appealなど、あらゆる緊急事態に対する人道支援活動の調整や、政策策定やその提案などを行っているが、あくまで実践機関ではなく、調整機関である。(明石秀親、喜多悦子)