国際保健用語集
用語 | RBM |
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概要 | →ロールバクマラリア |
用語 | USAID |
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概要 | →米国国際開発庁 |
用語 | ORS |
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概要 | →経口補液療法 |
用語 | 経口補液療法 |
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概要 |
(英語訳 : ORT, Oral Rehydration Therapy) 経口補液療法とは、下痢症により引き起こされる脱水を治療する手段である。 歴史は1940年代までさかのぼり、大量の水様性下痢により急速に脱水に陥るコレラに対する治療として最初に用いられた。途上国では、病院の設備が十分でなかったり医薬品が入手できないという事情により経静脈輸液治療が実施できない場合は多い。 さらには、手技の未熟さや経験不足のため、急速な輸液による心不全や静脈ルートからの感染など経静脈輸液に伴うリスクが大きい。このような現場で多くの子どもたちを救ってきたのは、水、糖分、塩分を一定の割合で溶かした経口的に補給される溶液であった。1975年にはWHOとUNICEFが統一した組成の経口補液療法用の糖塩分溶液(Oral Rehydration Salts, Oral Rehydration Solution, ORS)を奨励するようになった。その後、病態に応じたナトリウム濃度など組成成分の調整、穀物をベースとしたORT、栄養価や吸湿性についても継続して検討されている。また、ORTは下痢症の治療であるとともに「飲食」という日常の生活にきわめて密着しているということを忘れてはならない。 住民たちに浸透し普及するためには、現地における受容性、食生活や離乳食習慣に配慮し、文化人類学的な側面を検討する必要がある。 |
用語 | 安全な母性プログラム/イニシアチブ |
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概要 |
(英語訳: Safe Motherhood Programme / Initiative) Safe Motherhood Initiative (SMI)は、1987年にケニアのナイロビで開催された International Conference on Better Health for Women and Children through Family Planningにおいて提唱された、女性の安全な妊娠、出産を目的としたイニシアチブである。UNFPA, UNDP, UNICEF?, WHO, World Bank, NGOなど10機関が共同で実施しており、2000年までに妊産婦死亡率を半分にすることを目標に掲げ、家族計画、地域での妊産婦ケア、緊急時のケア、女性の地位向上などを主要な活動としていた。SMIは各国政府、NGO、女性団体などを巻き込んだ世界的なパートナーシップへと広がっていった。 その後、妊産婦の主要な死因である産後の出血、遷延分娩、子癇 、産褥熱、人工妊娠中絶の合併症の5疾患に焦点をあて、専門家(Skilled Birth Attendant: SBA)による分娩、助産師教育、必須産科ケア(Essential Obstetric Care: EOC、特に産科救急Emergency Obstetric Care)、などのプログラムに焦点があてられるようになった。2005年からは、新生児ケアを強調して、MNCH (maternal, newborn and child health)という概念を唱え、また同年、Making Pregnancy SaferというプログラムをSMIの一部として立ち上げ、質の高い産科医療をタイムリーに提供することで、妊産婦と新生児の死亡を削減することに力をいれている。(柳澤理子) |
用語 | 地球規模感染症に対する警戒と対応ネットワーク |
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概要 |
(英語訳 : Global outbreak alert and respondr network) 病原体はダイナミックに変異し、速やかに増殖して新しい環境や宿主に柔軟に適応する能力を持つ。 これらの生物学的特性に加え、人類の生活圏の拡張は未知の病原体との遭遇機会を提供し、交通手段の発達は迅速で長距離の病原体の移動を可能にした。このような病原体の拡散による感染症大流行に対応するため、2000年にWHOは地球規模感染症に対する警戒と対応ネットワークGOARN: Global Outbreak Alert and Response Networkを構築した。 そのシステムでは既存のネットワークを活用して、情報・経験・技術の国際間での共有を目指す。新しい感染症流行を系統的に情報収集し、流行の規模と重大さを科学的に迅速に確認し、確認した事実はネットワークを介して全世界に伝達し、必要に応じて国際協調して支援して、大流行による被害を最小限に防ぐサーベイランスの仕組みである。 毎年100カ国以上から200件以上の感染症流行の情報が収集され、GOARNが対応を判断する。国際的な対応が必要となる感染症は、1)未知の病原体の可能性がある、2)期待値より異常に罹患率や死亡率が高い、3)国境を越えて隣国に波及する、4)人間や物の交流によって隣国に運ばれる、5)流行当該国の対応する能力を越えている、6)事故や故意に拡散されている、などである。SARSや鳥インフルエンザでGOARNの対応能力が示された。 |
用語 | 経済協力開発機構 |
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概要 |
(英語訳 : Organization for Economic Cooperation and Development) 欧州経済復興促進のため1948年に発足した欧州経済協力機構(OEEC)が改組され、61年9月、経済協力開発機構(OECD)として発足。事務局はフランスの首都パリ。OECDの目的は、経済成長、開発途上国援助、貿易の拡大にあり、目的達成のために加盟国相互間の情報交換、コンサルテーション、共同研究と協力を行う。近年雇用問題、多国籍間の投資協定の策定、ウルグアイ・ラウンド後の貿易問題、規制緩和などに取り組んでいる。2003年時点の加盟国は30カ国(ほかに準加盟国としてユーゴスラビア)。当初は先進国クラブとよばれたが、メキシコ、韓国、東欧諸国の加盟により新たな特色を打ち出すべく模索中である。 最高機関は閣僚理事会と常駐代表会議から成る理事会。理事会は、14カ国から成る執行委員会(この内アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、日本、カナダの7カ国は常任)を選出、全加盟国が国際経済の重要問題を審議する新執行委員会を設置する。下部機構に経済政策委員会、貿易開発委員会、開発援助委員会(DAC)の3大委員会をはじめ、合計35の委員会がおかれている。 |
用語 | ヨード欠乏症 |
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概要 |
(英語訳 : IDD / Iodine deficiency disorders) ヨード欠乏症はヨード摂取の欠乏によって生じる甲状腺機能低下症であり、脳細胞の機能へのダメージによる知的発育遅滞の最もリスクのある原因の一つであり、特に途上国を中心にクレチン症、脳細胞の機能障害、甲状腺腫などにより苦しんでいる人々がいる。世界の30%以上の人々がヨード欠乏のリスクを有するとみられ、また甲状腺腫の経験をもつ人の数は約7億5000万人以上、なんらかの脳障害をうけている人が4300万人いると推定されている。 ヨード欠乏はヨード油の直接的経口投与および皮下注入による補給(Supplementation)、食塩のヨード添加(Fortification)などの方法によって改善することが可能である。食塩へのヨード添加が最も一般的な方法で、この手法は全ての地域で増加し、2002年の時点で途上国の66%以上の人々はヨード添加塩を摂取しているとされている。(石川みどり) |
用語 | NTD |
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概要 | →顧みられない熱帯病 |
用語 | 顧みられない熱帯病 |
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概要 |
(英語訳: Neglected Tropical Disease) 3大感染症(ATM:エイズ、結核、マラリア)以外の慢性的に流行している14の重要な寄生虫、細菌感染症をいう。これらは3大感染症のように死亡数は多くないために注視されてこなかった。しかしながらアジア、アフリカを中心とした途上国では極めて多くの人間が感染しており人間の生活の質に大きく影響している疾患である。世界的には熱帯地域、貧困層を中心に10億人以上がなんらかのNTDにり患していると推定されている。WHOを中心とした熱帯病対策に関連した機関、ドナーはこれらの疾患を、NTD;顧みられない熱帯病としてまとめ対策に取り組むこととなった。WHO本部ではエイズ、結核、マラリア部門とならんでNTD部門が発足し2007年4月にはNTD国際会議が開催されるにいたった。近年のこれらの動きを作り出したのは、1997年のG8サミット(バーミンガム)において橋本首相(当時)が中心となりG8各国が世界の寄生虫対策に取り組む必要性を宣言(橋本イニシアチブ)したことから始まっていることは国際的に認知されることころである。現在NTD対策は、同じ薬剤にて数種の疾患が治療できることから、集団治療についてのインテグレーションを行うことが基本的戦略となっている。例えば、アルベンダゾールは土壌伝搬性寄生虫症にもフィラリア症の治療にも有効である。さらに近年ではベクター対策におけるインテグレーションや社会啓蒙活動も対策のコンポーネントの重要な要素として含またことにより、より総合的対策戦略がつくられつつある。(小林潤) |
用語 | CMR |
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概要 | →粗死亡率 |
用語 | DFID |
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概要 | →英国国際開発省 |
用語 | CIDA |
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概要 | →カナダ国際開発庁 |
用語 | ミレニアム開発目標 |
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概要 |
(英訳:MDGs, Millennium Development Goals) 2000年9月、189カ国の首脳が出席した国連ミレニアム・サミットでの合意をもとに設定された国際社会共通の開発目標。 これは、1990年代に多くの国際会議やサミットで提唱された開発目標を統合し、一つの共通の枠組みとしてまとめたもので、2015年までに各国が達成すべき8目標を定めている。 8つの目標とは、 1)極度の貧困と飢餓の撲滅、 2)普遍的初等教育の達成、 3)ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上、 4)乳幼児死亡率の削減、 5)妊産婦の健康の改善、 6)HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延防止、 7)環境の持続可能性の確保、 8)開発のためのグローバル・パートナーシップの推進、 である。 過去の開発援助の経験から、成果を重視する動きが生まれ、ミレニアム開発目標では達成期限と具体的な数値目標が設定されている。 2008年1月15日には数値目標の内容が改訂され、保健医療分野と直接に関連している項目では、リプロダクティブ・ヘルスへの普遍的アクセスの達成と、2010年までに必要に応じたHIV/エイズ治療への普遍的アクセスの達成などが新たに加えられた。 ミレニアム開発目標は、援助国が開発途上国を側面で支えること(パートナーシップ)とともに、開発途上国が自ら責任を持って開発に取り組むこと(オーナーシップ)を重視している。 また、ミレニアム開発目標は分野ごとの開発目標を示しているが、貧困やジェンダーなどの分野横断的な視点に基づいた取り組みも必要である。 (池上清子) |
用語 | フィラリア症 |
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概要 |
(英語訳:Lymphatic Filariasis) フィラリアは、リンパ浮腫をおこし象皮病などの生活の質に大きく影響する疾患であり、2000年には世界で1億2千万人が感染していた。アルベンダゾールとDECもしくはイベルメクチンによるMDA: Mass drug administration (集団治療)が対策に著効することが明らかになってから、世界的な制圧プログラムが動きだした。2000年にはPublich Private Partnership (公的機関―民間パートナーシップ)のもとにGlobal Alliance to Eliminate Lymphatic Filariasisが作られこの動きは加速している。なかでも太平洋島礁各国が参加しているPacELF: Pacific programme for the Elimination of Lymphatic Filariasisでは大きな効果を得て、パプアニューギニアを除く各国で新規のフィラリア症患者はほとんど見られないところまできている。これはWHOを中心に、日本政府、日本人専門家、青年海外協力隊の支援によるところが大きく、高く評価されている。現在、フィラリア症はNTD: Neglected Tropical Diseases対策の一環として捕えられ、今後、他熱帯病対策とのインテグレーションによって対策が進行すると考えられる。(小林潤) |
用語 | 国際疾病分類 |
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概要 |
(英語訳:ICD, International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems) 正式には、International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems 疾病及び関連保健問題の国際統計分類の事である。 異なる国や地域から、異なる時点で集計された死亡や疾病のデータの体系的な記録、分析、解釈及び比較を行うため、世界保健機関憲章に基づき、世界保健機関(WHO)が作成した分類である。起源としては、1950年代に死因(Cause of Mortality)のリストとしてはじめられたものであり、1893年に国際統計協会(the International Statistical Institute)が使用するようになり、約10年ごとに改定が行われちた。死因だけではなく疾病原因(Cause of Morbidity)を含む第6版が出版された1948年に、WHOが責任機関として引き継ぐこととなった。 最新の分類は、ICDの第10回目の修正版として、1990年の第43回世界保健総会において採択されたものであり、ICD-10と呼ばれている。現在、我が国では、一部改正の勧告であるICD-10(2003)に準拠した「疾病、傷害及び死因分類」を作成し、統計法に基づく統計調査に使用されるほか、医学的分類として医療機関における診療録の管理等に活用されている。(仲佐保) |
用語 | 下痢症 |
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概要 |
(英語訳: Diarrhoeal Diseases) 臨床経過から急性下痢症と慢性下痢症に分類される。急性下痢症は急に発症し持続が2週間以内のもので、細菌やウイルスによる感染性下痢症が多く、経口補液療法(ORT)が有効である。慢性下痢症は2週間以上続く下痢で、ORTの効果に乏しく予後不良で、感染性因子以外に宿主免疫能や栄養状態の関与が考えられている。細菌性下痢症の中で赤痢とコレラは、適切な抗菌薬投与により予後や排菌期間の改善が期待できる。赤痢に対してはナリジクス酸やキノロン系が効果的であるが、耐性化がきわめて早い。コレラはテトラサイクリン系が有効であるが、小児にはマクロライド系を用いる。コレラ患者では、激しい下痢や嘔吐により身体から大量の水分と電解質が失われるため、急速に脱水が進行し時には循環虚脱に陥る。だからこそ脱水の治療であるORTが著効を示す疾患でもある。ウイルス性下痢症の原因として、ロタウイルス、ノロウイルス、腸管アデノウイルスなどがある。中でもロタウイルスは頻度が高く、脱水の程度も強い。ロタウイルス感染症には先進国の子どもたちも頻繁に罹患するが、輸液療法など治療法の向上により死亡例は少ない。一方途上国では、多くの子どもたちが本疾患により命を落としている。近年欧米諸国で認可された改良ロタウイルスワクチンの、途上国における有用性を評価することは、国際保健における大切な課題である。(中野貴司) |
用語 | ヘルスセクターリフォーム |
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概要 |
(英語訳 : Health Sector Reform / HSR ) HSRは、「保健セクターの効率性、公平性、効果を向上させるための持続的かつ目的のある変革」と定義されている。1980年代末になり、個々の vertical program の有効性に限界が指摘され、また、構造調整政策などの影響もあり、保健医療分野においては財源の逼迫は大きな課題であった。1990年代初期には、多くのドナーや国際機関が途上国の保健医療分野の包括的長期開発戦略の策定を援助の対象とした。 一方、同時期は、HSRは途上国だけではなく、先進国でも重要な課題であり、それぞれに様々な試みが行われていた。世界銀行は、途上国のヘルスシステムを分析し、世界開発報告「健康への投資」(1993)で、抜本的な改革に必要な一連の社会改革を提唱し、その綿密さと名声によって瞬く間に世界中の保健セクター改革の宣言文となった。この中で、疾病の負担の減少につながる進歩を妨げ、健康問題への新たな取り組みを妨害しているとして、「不適切な配分」、「不公平」、「非効率」、「医療コストの激増」の4つの欠陥を特定し、これらを是正するための処方箋として以下の政策目標を掲げている。 1)家庭の健康増進を可能にする環境作り、 2)保健への政府投資の改善、 3)民間セクターの関与の促進。 これらの政策目標は、保健省を再編する、公的医療サービスに利用者負担を導入する、健康保険制度を設置あるいは拡大する、地方/県政府レベルへ分権化する、公的医療サービスを民営化する等の方法論に凝縮されている。 HSRは、しばらくの間、保健医療分野の国際協力を席巻したが、策定された開発戦略に沿って各ドナーによる援助が調整された国はわずかである。 保健医療分野における潮流は、Sector reformへの協力に加えて、Sector Wide Approach (SWAP) やSector Investment Program (SIP)等のSector Program Approachという新しいプロセスにおける試みが行われつつある。 |
用語 | HSR |
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概要 | →ヘルスセクターリフォーム |
用語 | ユニセフ |
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概要 | →国連児童基金 |