国際保健用語集

用語 ファイナンシング
概要 (英語訳 : Financing)

英語の原義から言えば「資金調達」である。保健医療の分野にこれをあてはめれると、予防や治療サービスの財源をどのように確保するかという問題に置き換えることができる。主要な財源としては、税金(公費)、保険、自費(私費)が考えられる。保険はさらに、社会保険(公的保険)、民間保険(私的保険)、地域での小規模な保険(地域共同体保険)などに分類される。これら以外にも、国際援助や募金・寄付などがあるが、規模や継続性(sustainability)の点で制約がある。

長期的なファイナンシングの手段としては、前述の税金、保険、自費、あるいはこれらの組合せを検討する必要がある。 
用語 ロールバクマラリア
概要 (英語訳 : Roll Back Malaria) 

1998年5月、WHO中島宏事務局長(当時)の後任にGro Harlem Brundtland前ノルウェー首相が就任し、新規のWHOキャビネットプロジェクトとして宣言されたマラリア対策が、「Roll Back Malaria (RBM) Initiative」と呼ばれた。RBMイニシアチブは従来のようなマラリア撲滅運動ではなく、2010年までにマラリアによる死亡率を半減させるという具体的数値目標を持った対策案である。RBMで強調されることは、マラリアの治療を必要とするあらゆる人、マラリアの対策を必要とするあらゆる地域にそのサービスがゆき届くよう努力すること、そしてこのRBMの旗頭が、各マラリア流行国の保健システム強化の先導役(path finder)になることである。

RBMの具体的な戦略は、マラリアサミット(1992年)で起草されたGlobal Malaria Control Strategyのフォーミュラーを応用し、(1)マラリア患者の早期診断と迅速な治療、(2)突発性流行の検出と対策、(3)薬剤含浸蚊帳を用いた媒介蚊対策、(4)妊婦のマラリアの予防、の4項目を基盤に展開するものである。そのうえで流行国と多くの国際機関との連携、開発支援2国間援助の推進、研究グループとの協力、製薬会社や非政府組織(NGO)、財団、マスメディアとのいわゆる「パートナーシップ」を築き上げてゆくことである。現在では、正式にUNICEF, UNDP, World BankWHOが完全連携して、「RBM Partnership」という新しいフレーズが使われることが多い。