国際保健用語集
用語 | 経済開発協力機構 |
---|---|
概要 |
(英語訳:OECD, Organization for Economic Co-operation and Development) 第二次大戦後の欧州各国の経済的混乱を救済するための欧州復興計画を契機として、1948年に発足した欧州経済協力機構が前身にあたる。その後、1961年に米国、カナダが加わり、新たに経済協力開発機構が発足した。我が国は1964年に加盟。本部はパリに置かれ、1)経済成長、2)貿易自由化、3)途上国支援(これを「OECDの三大目的」という)に貢献することを目的としている。「開発援助委員会」は開発援助を促進するとともに、援助の効果向上を目的とする、経済協力開発機構の委員会である。(山本太郎) |
用語 | 結核 |
---|---|
概要 |
(英語訳:TB, Tuberculosis) |
用語 | 緊急産科ケア |
---|---|
概要 | →産科救急ケア |
用語 | 職業上の安全のおよび健康を促進するための枠組みに関する条約 |
---|---|
概要 |
(英語訳 : Promotional Framework for Occupational Safety and Health Convention) ILO(国際労働機関)の第187号条約として2006年に採択された。本条約の目的は、すべての働く人々の健康と安全の向上のために安全健康予防文化の確立を推進することである。そのために、職場における健康および安全リスク評価活動を推進し、見つかったリスクに対応する。また、政府は労働者、経営者代表と協力して5年程度の中期的な国家労働安全衛生計画を策定し実施する。その過程において、国内の労働安全衛生の現状を分析し、優先行動課題を決定して到達目標を設定する。 アジア諸国では本条約を参照しながら自国の働く人々 の健康と安全対策を促進している。ベトナム、ラオス、インドネシア、タイ、中国、モンゴル、シンガポールなどが国家労働安全衛生計画を策定し、実施を進めている。 各国はそれぞれの国家計画の枠組みの中で、労働安全衛生法の強化と効果的な実施の他に、中小零細企業、家内労働、農業、鉱山や建設業等のリスクの高い職場の対策強化、外国人労働者の労働安全衛生保護拡大等の重要課題にも取り組んでいる。 この条約により、労働安全衛生マネジメントシステムに基づいた体制と実施の継続的な改善、ならびに労働安全衛生が国としての重要課題に位置づけられることが期待されている。(和田耕治) |
用語 | 自殺 |
---|---|
概要 |
(英語訳:Suicide) |
用語 | 若年妊娠 |
---|---|
概要 |
(英語訳:Adolescent pregnancy or teenage pregnancy) |
用語 | 英国国際開発省 |
---|---|
概要 |
(英語訳:DFID, Department for International Development) 英国の開発協力を中心的に担う組織として、1997年に設立され、アフリカ、アジア及び中東に対する支援を中心とした援助機関。英国の全ODA(2017年)139.3億ポンドであるが(GNI比0.7%を実現している)、その72.5%がDFIDを通じて供与されている。 優先課題(Strategic Objectives)は、「世界的平和・安全・ガバナンスの強化」、「危機に対する強靭性や対応力の強化」、「世界的繁栄の推進」、「極度の貧困への対応と最も脆弱な人びとへの支援」、「英国援助の資金に見合う価値と透明性の向上」の5つを掲げている。 英国ODAは62.4%が二国間協力(2017年)で、DFIDを通じた二国間協力のうち主要な協力相手先はアフリカ(25.9億ポンド:二国間協力の58.6%)であり、次いでアジア(15.7億ポンド:35.5%)と大部分を占めている。 保健分野は、2016年の二国間協力では人道支援、政府・市民社会についで、10.4億ポンド(12.2%)と3番目に大きい支援分野となっている。(平岡久和) |
用語 | 薬剤耐性 |
---|---|
概要 |
(英語訳:AMR, Antimicrobial Resistance) |
用語 | 行動変容のためのコミュニケーション |
---|---|
概要 |
(英語訳:IEC, Information, Education, and Communication: IEC BCC, Behavior Change Communication) 情報・教育・コミュニケーション(Information, education, and communication:IEC)とは、 サービス利用者に対して特定の情報を伝達する方法である。サービス利用者が理解を深めて行動変化することを目指して、サービス提供側が活動を展開するということに焦点を当てている。例えば妊婦検診を広めることを目的とする事業では、情報の送り手である保健省が、受け手である妊婦に対して、TVやラジオでの宣伝や街頭ポスター、保健センターなどでの指導など、様々なチャンネルを通じて、妊婦検診の日時/場所といった情報を伝えると同時に、なぜ妊婦検診が必要なのかについて理解を深めさせ、実際に妊婦検診へ行くように働きかけることを意味する。 一方、行動変容のためのコミュニケーション(Behavior change communication:BCC)では、サービス利用者が、長い間培ってきた行動や生活パターンを、より望ましいものに変えるということに焦点を当てている。例えば、コンドームの使用や禁煙などである。行動変容を促すには、知識のみならず、行動変容がその人に望ましい成果をもたらせるのだと気づかせること、さらには、その人自身が行動変容できるのだという自信を持たせることが重要とされている。具体的例として、カウンセリング、メディアキャンペーン、法制度の整備などがある。BCCとIECは類似点も多いが、厳密には異なる点もある。そのため、IEC/BCCと並列標記される場合と、別々に標記される場合とがある。(和田知代) |
用語 | 行動科学 |
---|---|
概要 |
(英語訳 : Behavioral science) 第二次世界大戦後のシカゴ大学の科学者が、自然科学と社会科学を統合した見方から行動を捉えようとした際に用いられた名称。人間の個人的・集団的行動の一般法則を客観的な観察や調査によって実証しようとする学問であり、心理学、社会学、人類学を中核として、精神医学、コミュニケーション論、情報理論などの領域を含みながら、学際的に発展してきた。 国際保健医療の分野に関連が深いのは「応用行動科学(applied behavioral science)」であろう。人間の対人行動に関する諸理論(対人関係、対人的コミュニケーション、対人的影響過程、集団内行動、リーダーシップ、グループ・ダイナミックス、組織行動など)を応用して、現場で起こっている人間関係的側面の諸問題に働きかけていくものである。アプローチとしてはアクションリサーチのサイクルが用いられる。アクションリサーチの父とされるK.Lewinは、人間関係の改善のための手法としてワークショップ形式で行われるトレーニング(training)を重視した。K.Lewinのこの発想は、彼の弟子たちによって設立された米国NTL Institute for Applied Behavioral Scienceにて、人間関係トレーニング(Human Relations Training、正式名称:ラボラトリー方式の体験学習)として、また、民主的でヒューマニスティックな組織づくりをめざした組織開発(Organization Development)として発展した。(中村和彦) |