概要 |
(英語訳 : CD, Capacity Development)
キャパシティ・ディベロップメント(CD)の概念化・理論化に最も早くから取り組んでいる国際機関の一つである国連開発計画(UNDP)は、キャパシティを「個人・組織・社会が、期待される役割を果たし、問題を解決し、目標を設定してそれを達成する、自立発展的な能力」、CDを「個人・組織・社会がキャパシティを獲得し、高め、維持していく経時的な過程」と定義している。また、日本政府の援助機関であり、被援助国のCDを重視する国際協力機構(JICA)によると、CDとは「途上国の課題対処能力が、個人、組織、社会などの複数のレベルの総体として向上していくプロセス」である。
このように、CDの定義にはいくつかのバリエーションが見られるが、多くに共通するのは、被援助国自身の自立的な問題解決能力の獲得・向上・維持(主体性・自立性)に焦点を当て、個人、組織、制度・社会という複数のレベルにおける総合的な能力向上(複層性・包括性)を重視する視点である。
なお、キャパシティ・ビルディング(Capacity Building)については、CDとほぼ同義で用いられることもあるが、?個人または組織における個別的能力向上に限定した概念、?能力向上を促す外からの介入行為に焦点を当てた概念、?単発的な能力向上に焦点を当てた概念として、包括性、自発性、継続性を重視するCDと区別して用いられることもある。(瀧澤郁雄) |