概要 |
(英語訳:Voluntary Counseling & Testing)
自発的にHIV検査を受ける方法として、人権尊重の観点から1980年代後半から推奨されてきた。VCTでは、検査前のpre-test counsellingと、検査、post-test counsellingの順番で実施される。Pre-test counsellingでは検査前に検査を受ける理由や結果を知ることの有利な点と不利な点を話し合い、最終的にクライアント自身がHIV検査を受けるかどうかを決定する。Post-test counsellingでは、もし結果が陽性であれば適切な治療を含めたケアへのアクセスのエントリーポイントととなり、陰性であれば受検者にHIV感染予防の情報と知識を与えることになる。
しかし、近年ではHIV陽性者への治療拡大や母子感染予防のため、HIV陽性者の確認を積極的に行う必要が出てきた。HIV検査受検の自発性に大きく依存するVCTでは、HIV検査受検率が十分に高くならないことなどから、最近ではHIV testing and counselling(HTC)やprovider-initiated TC(PITC)といったような実施方法が主流となり、VCTと言う言葉は最近では使われることが少なくなってきた。最近では、このようなサービスをHIV testing services(HTS)と称する傾向にあり、VCTにあった “pre-test counselling”は “pre-test information”に置き換わっている。WHOは、HIV検査に当たっては、「5 Cs」(Consent:同意、Confidentiality:守秘性、Counselling:カウンセリング、Correct test results:正確な検査結果、Connection/linkage to prevention, care and treatment:予防とケア、治療への接続)が必要と強調している。(垣本和宏) |