国際保健用語集

用語 う蝕経験歯数
概要 (英語訳:DMF, Decayed, Missed, Filled)

1938年にKlein Hらによって開発されたう蝕(むし歯)(dental caries)を評価する指標である。う蝕に罹患すると自然治癒が期待できないために、経験歯数として表すべきだとして、未処置歯、処置歯、喪失歯の合計をDMFと表記された。この指標は地域や集団におけるう蝕状況を表す指標として広く用いられている。大文字のDMFは永久歯のう蝕を表すのに対して、小文字のdmf(def)は乳歯う蝕を示している。

D(d):Decayedの略で保存可能な未処置歯
M(m):Missing because of cariesの略でう蝕が原因の抜去歯
F(f):Filledの略でう蝕が原因で修復した歯
e:乳歯の未処置歯の要抜去歯

乳歯は、う蝕の有無に関係なく生理的に脱落するので、永久歯のMに相当する歯の計上は困難であるとからdefを使用する。ただし、永久歯の萌出が始まる以前の年齢ではdmf方式の使用は可能である。

DMF方式を用いた集団におけるう蝕状況を示す指数には下記のものがある。
DMF者率=DMFのいずれか1歯を有する者の数/被験者数×100(%)
DMFT指数(一人平均DMF歯数)=被験者のDMF歯数の合計/被験者数
DMFS指数(一人平均DMF歯面数)=被験者のDMF歯面数の合計/被験者数
DMF歯率=被験歯のDMF歯数の合計/被験歯数(D+M+F+健全歯)×100(%)

WHOのGlobal Oral Data Bankに100カ国以上の12歳児のDMFT指数(DMFT index)が公開されている。(深井穫博)