国際保健用語集

用語 小児疾患統合管理
概要 (英語訳:IMCI, Integrated Management of Childhood Illness)

途上国では、毎年1000万人以上の5歳未満乳幼児が死亡している。その主な原因として、周産期要因、肺炎、下痢、栄養障害、マラリア、麻疹、HIV感染などがある。しかし小児が呈する症状や病態は、必ずしも単一の原因によるものではない。特に途上国においては、各種要因が絡み合っている。例えば村のヘルスワーカーが病気の子どもに対処しようとする際、「麻疹」や「下痢症」など単一疾患に対する知識や技術のみでは十分な対応ができない場合も多い。そこで開発されたのがIMCIの手法である。標準化された統合管理のガイドラインをもとに、共通の教材を用いて研修を行い、子どもの疾患に対する適切な対処や管理ができること、加えてそのための保健医療システムが構築されることを目指す。子どもたちの状態に応じて、そのまま経過観察してよい場合、必要な処置、見落としてはならない危険な臨床徴候“danger signs”、医療機関やさらなる高次診療施設への搬送が必要な場合などを具体的に示している。肺炎や下痢症など代表的な疾患に対する対処法と併せて、栄養管理や安全な水の入手、予防接種、健康教育など包括的内容を含む。IMCIを実践する分野は村レベルの活動から医療機関におけるレファラルシステムまで多岐におよぶが、村の住民たちに対するコミュニテイーIMCIが最も基本になる。(中野貴司)