国際保健用語集
用語 | KAP調査 |
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概要 |
(英語訳:KAP (Knowledge, Attitudes and Practices) survey) |
用語 | 5歳未満児死亡率 |
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概要 |
(英語訳 : U5MR, Under 5 Mortality Rate) |
用語 | 顧みられない熱帯病 |
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概要 |
(英語訳: Neglected Tropical Disease) 3大感染症(ATM:エイズ、結核、マラリア)以外の慢性的に流行している14の重要な寄生虫、細菌感染症をいう。これらは3大感染症のように死亡数は多くないために注視されてこなかった。しかしながらアジア、アフリカを中心とした途上国では極めて多くの人間が感染しており人間の生活の質に大きく影響している疾患である。世界的には熱帯地域、貧困層を中心に10億人以上がなんらかのNTDにり患していると推定されている。WHOを中心とした熱帯病対策に関連した機関、ドナーはこれらの疾患を、NTD;顧みられない熱帯病としてまとめ対策に取り組むこととなった。WHO本部ではエイズ、結核、マラリア部門とならんでNTD部門が発足し2007年4月にはNTD国際会議が開催されるにいたった。近年のこれらの動きを作り出したのは、1997年のG8サミット(バーミンガム)において橋本首相(当時)が中心となりG8各国が世界の寄生虫対策に取り組む必要性を宣言(橋本イニシアチブ)したことから始まっていることは国際的に認知されることころである。現在NTD対策は、同じ薬剤にて数種の疾患が治療できることから、集団治療についてのインテグレーションを行うことが基本的戦略となっている。例えば、アルベンダゾールは土壌伝搬性寄生虫症にもフィラリア症の治療にも有効である。さらに近年ではベクター対策におけるインテグレーションや社会啓蒙活動も対策のコンポーネントの重要な要素として含またことにより、より総合的対策戦略がつくられつつある。(小林潤) |
用語 | 非政府組織 |
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概要 |
(英語訳:Non-governmental Organization) 1945 年、国際連合の発足の後、国連憲章第10章「経済社会理事会」・第71条において、政府と異なる立場で国連との協議資格をもつ市民組織としてNGOという用語が使われはじめた。故・室靖教授によると、世界の援助の歴史を見ると、NGOによる援助は政府開発援助(ODA)よりずっと早くからおこなわれてきた。たとえば、セーブ・ザ・チルドレン・ファンド(SCF-UK)は第一次世界大戦末期に援助活動を始めたのに対し、ODAの起源はトルーマン大統領による1949年の「ポイント・フォア計画」が最初という。日本でNGOの語が広く流通するようになったのは、インドシナ難民救援活動が本格化した1980年代以降。日本はその意味でNGO後進国だった。平成7年の阪神淡路大震災での救援活動、平成10年の特定非営利活動促進法制定が、NGOの認知と活動に弾みをつけた。 JANIC(国際協力NGOセンター)によると、国際協力NGOとは、「海外・国内を問わず、地球規模の課題(開発・人権・平和・環境・緊急救援など)に取り組む非政府・非営利の市民組織」と定義される。JANICのNGOダイレクトリー(2005年版)には、286団体が紹介されているが、うち保健・医療分野(事業の重複あり)は114団体と、教育分野についで多い。最近では、エイズ、MDG(ミレニアム開発目標)、地雷やクラスター爆弾禁止、女性の人権、地球温暖化対策など、いわゆるグローバル・イッシューに取り組む、国境を越えた市民連携として、NGOよりも、Civil Society Organization(CSO:市民社会組織)という用語がよく使われるようになってきた。NGOがCSOを構成する重要なアクターであることは間違いない。(本田徹) |
用語 | 青年海外協力隊 |
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概要 |
(英語訳:JOCV, Japan Overseas Cooperative Volunteers) 1965年にわが国政府の事業として始まり、1974年に発足した国際協力事業団(現独立行政法人国際協力機構:JICA)に受け継がれた事業で、開発途上国の人々のために自分の能力や経験を活かしてみたいという満20歳から満39歳までの若者支援事業である。青年海外協力隊は現地の人々と共に暮し、同じ言葉を話しながら、その国の人造り、国造りに協力する「草の根レベルのボランティア」と言える。ラオスへの初派遣以来40年間で82ケ国(アジア、アフリカ、中近東、中南米、大洋州、東欧)へ計30,000人余り(2008年1月現在)の隊員が派遣され、現在も約2,500人が派遣されている。派遣期間は原則として2年間である。対象職種は農林水産業、加工、保守操作、土木建築、保健衛生、教育文化、スポーツ、計画・行政の8部門、約120職種にわたる。青年海外協力隊員は公募され、選考を経て、65日間の派遣前訓練を実施した後、任国へ派遣される。保健医療分野では、歯科医師、薬剤師、看護師、助産師、保健師、臨床検査技師、言語療法士、診療放射線技師、歯科衛生士、理学療法士、作業療法士、栄養士、公衆衛生、エイズ対策、感染症対策など多くの職種が派遣されている。(坂本 真理子) |
用語 | 難民 |
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概要 |
(英語訳: Refugee) |
用語 | 障害を調整した生存(人生・生命)年数 |
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概要 |
(英語訳 : Disabilty adjusted life years) 疾病により失われた生命や生活の質を包括的に測定するための指標として「障害を考慮した生存年数(DALYs: Disability-Adjusted Life Years)」 は開発された。 生活の質を調整した指標であるQALYに社会的価値判断(年齢による重み付け)等を加えている。 生活の質を調整した死亡・障害の度合いをあらわす指標はいくつかあるが、その中でもDALYsは1993年に世界銀行が発表した「World Development Report (世界開発報告) -Investment in Health(健康への投資)」 でハーバード大学のMurrayらがその中で使用したことをきっかけに、WHOや世界銀行などの国際機関が保健政策の優先度を決める場合の指標として広く使われるようになった。 現時点では発展途上国における下痢症や急性呼吸器感染症によるDALYsの損失が全世界では大きいが、今後生活習慣病や喫煙による呼吸器疾患等の非感染性疾患や精神疾患によるDALYsの損失が増えることが予測されている。 |
用語 | 開発援助委員会 |
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概要 |
(英語訳: DAC, Development Assistance Committee) 世界の経済開発や福祉の向上のための政策を推進する経済協力開発機構(Organisation for Economic Co-operation and Development: OECD)において、経済開発や関係する政策の推進を行う役割を持つ専門委員会として1961年に設置された。アジアからの日本及び韓国を含む30メンバー(29か国とEU)が加盟し、開発分野に係る基準や規範の設定やモニタリングに取り組んでいる。 ODAの定義設定やDAC 援助受取国・地域リスト(DAC List of ODA Recipients)の作成など開発援助に関する基準・規範設定、開発協力報告書(Development Co_operation Report)の発行などのODAに係る統計の管理、開発援助相互レビュー(Peer Review of Development Co-operation)の推進による開発援助の改善、DAC賞(DAC Prize)の設置による優良事例の共有などを具体的に行っている。(平岡久和) |
用語 | 開発原病 |
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概要 |
(英語訳:developogenic disease, developo-genic disease, disease of development) 開発による自然・社会環境の変化および人間行動の変化などにより、新たに流行が引き起こされる疾病を指す。初出は1970年に出版されたHughesとHunterの論文Disease and‘development’in Africaで、医療行為が原因となって起こる病気である医原病(iatrogenic disease)にヒントを得て名づけられた。 開発原病としては、灌漑施設・ダム・貯水池など水に関わる開発によって生態系に変化が起こり、中間宿主である蚊や貝が繁殖し、マラリアや住血吸虫症が流行した例が良く知られている。他にも、換金作物栽培導入によって地域の伝統的食生活が乱れ栄養不良が引き起こされたり、森林破壊によって動物と人間が接触する機会が増え新たな病原性ウィルスによる新興感染症が流行するなど、人々の健康に対する開発の悪影響が明らかになってきた。 近年、開発援助に関わる国際機関では、環境や社会に配慮するガイドラインを制定し、現地への負のインパクトを回避または最小限にする努力が払われるようになってきている。保健分野に関する取り組みとしては、道路建設プロジェクトにおいて建設労働者と地域住民の双方に対してHIV/AIDS対策を実施する、灌漑プロジェクトにおいて感染症を媒介する昆虫等のコントロールや診断・治療・予防啓発を強化する、といったことが行われている。しかしながら、このような取り組みが始まってからの年数は浅く、ガイドラインの適切な運用や対策の継続性など、取り組むべき課題も多い。(森重裕子) |
用語 | 開発とジェンダー |
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概要 |
(英語訳:Gender and Development ) 開発とジェンダー (Gender and Development: GAD) とは、女性と男性の相対的で流動的な社会的関係 (ジェンダー関係) を重視し、ジェンダー間の不平等・不公平をなくすことが、公正で持続可能な開発につながるという考え方のことである。先行するWID (Women in Development 開発と女性) の考え方は、女性が開発過程に参加することによって、その生活や社会的地位を向上させようとするものであった。それに対し、1980年代以降、ジェンダー視点を取り入れて発展したGADの概念では、女性のエンパワーメントを進めて男性との不平等な関係を変え、女性の状態が改善しても男性との格差が残ったり拡大したりしてはならないことに着目している。女性と男性が同等に決定に参画する、公平で持続可能な開発を目標としており、究極的には、社会や経済の枠組み・構造や、権力関係までもが問われる。GADの考え方を進めて、開発援助機関や各国政府は、ジェンダーの主流化 (Gender mainstreaming) に取り組んでおり、分野や対象を問わずすべての開発プログラムにジェンダーの視点を取り入れようとしている。(青山温子) |
用語 | 鉄欠乏性貧血 |
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概要 |
(英語訳:IDA, Iron Deficiency Anemia) |
用語 | 重症急性呼吸器症候群 |
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概要 |
(英語訳: SARS, Severe Acute Respiratory Syndrome) |
用語 | 避妊法/避妊法の種類 |
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概要 |
(英語訳:Contraceptive method/Kinds of contraceptive method) 妊娠と避妊の定義は、国、地域、宗教、時代などにより異なるが、本稿では妊娠は「受精卵が着床することで成立」し、避妊法とは「妊娠の成立を阻害する方法」と定義する。 自然な状態でのヒトの妊娠成立は、視床下部-脳下垂体-卵巣系のホルモン分泌による卵の成熟と排卵、性交渉による精子の卵管への移動、精子の卵への侵入による受精、受精卵が子宮内に移動し内膜へ着床する、という経過をたどる。よって、この過程のいずれかを阻害すれば避妊を行うことが可能となる。 健康な男女が避妊をせずに標準的な性交渉を持つ場合、85%が1年以内に妊娠するとされている。よって避妊法の有効率は、年間の妊娠成立率で評価できる。 一方、避妊法は古典的方法と現代的方法に分けることができる。古典的方法としては、排卵周辺期に性交を行わない(周期法)、腟内に射精しない(性交中断法)などがある。いずれを完璧に行っても年間3-5%が妊娠する。これらの方法は、しばしば不完全に実施される可能性が高く、25-27%程度が妊娠してしまうと推計されている。 現代的方法として以下の方法(カッコ内はメカニズム)がある。ホルモン剤(排卵または着床を抑制、子宮頸管の粘液変化により精子の侵入を抑制)は経口薬、注射あるいは皮下埋め込み型の徐放剤が利用できる。経口薬は毎日服用する必要があるが、徐放剤では注射で3ヶ月、皮下埋め込み型で3年間効果が持続する。年間妊娠率は0.05-0.3%である。 子宮内避妊具(Intra-uterine device: IUD、着床または精子の受精能抑制)は、清潔操作を行い子宮内に挿入する必要があるため、一定の技術、器具、施設を必要とすることが、その普及を阻害する。年間妊娠率は0.2-0.6%である。 コンドーム(精液の腟内侵入を防ぐ)の年間妊娠率は2%程度と他の方法に比べて高くなるが、性感染症の予防手段としても有効である。 またいわゆる永久避妊法として、男性では精管、女性では卵管を外科的に結紮・切除する方法がある。(松井三明) |
用語 | 適正技術 |
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概要 |
(英語訳:Appropriate technology) 適正技術とは、その技術の受容者であるコミュニティの環境、文化や習慣、社会経済的背景などに配慮した技術をいう。1973年にSchumacherが「small is beautiful」で提唱した中間技術(intermediate technology)の概念は、適正技術の重要性と理論化に大きな役割を果たした。国際協力において、農業、灌漑、水供給、小工業、環境など多くの分野で適正技術の開発と普及が行なわれている。とくに、近年は、地球温暖化や情報化社会の中で、環境に負担をかけず、資源を浪費せずに、低コストで維持できる適正技術の再評価が行われている。 保健医療分野において、適切技術はアルマ・アタ宣言においてプライマリヘルスケアの重要な原則の一つとして位置付けられた。医療費、施設の維持費、電気などの設備の有無、技術を使いこなせる人材の有無、文化や習慣などの種々の要素から、それぞれの保健医療施設やコミュニティに見合った適正技術を考える必要がある。(中村安秀) |
用語 | 質的調査・研究、質的調査方法 |
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概要 |
(英語訳: Qualitative Research, Qualitative methods) 質的調査・研究とは、主に集中して深く掘り下げるインタビューや参与観察のような余り定型化されない方法でデータを集め、その結果の報告に際しては、数値による記述や統計的な分析というよりは言葉による記述と分析を中心にする調査研究である。元々行動科学も社会科学も、伝統的には自然科学をモデルにしており特に1950年代から1970年代後半まではかなりの勢力を保っていた。しかし70年代後半に入って社会が急速に変化し、その結果、生活世界が多様化しこれまでにない新しい社会の文脈や視野が現れ出した。そしてこれまで研究者達が当たり前のように用いてきた演繹方法は、研究対象の多様性に十分に対応できないという認識が高まり、既成の理論の検証ではなく、現象の新たな側面を発見し現場での情報、データに基づいて新たな理論を生み出す「帰納方法」が注目を浴びるようになる。人類学、社会学双方の分野でそれまでのいわゆる「科学」的思考法と研究方法、特に実証主義と呼ばれるアプローチに対する異議申し立てが盛んに行われ始めた。社会の中の現象にアプローチするために、厳密に定義された既存の概念と理論から出発する代わりに、問題を大まかに示すだけの「感受概念」を出発点とするような方法が質的調査・研究の基本となっている。なお、質的調査方法はフィールドワークなどを中心に、インタビュー、参与観察、フォーカス・グループ・ディスカッション、体系的データ収集法など非常に多岐にわたる。(松山章子) |
用語 | 質的調査、質的調査方法 |
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概要 |
(英語訳: Qualitative Research, Qualitative methods) 質的調査とは、主に聞き取りの内容を集中して深く掘り下げるインタビューや地域に入り込み観察を行う参与観察などのあまり定型化されない調査方法で情報を収集し、その結果の報告に際しては、数値による記述や統計分析ではなく言葉による分析と記述を中心とする調査研究である。元々行動科学も社会科学も、伝統的には自然科学をモデルにした。しかし70年代に入り社会が急速に変化し、その結果、生活世界が多様化し人間の社会や行動を扱う科学者の前にこれまでにない新しい社会の文脈や視野が現れだした。それまで研究者たちが当たり前のように扱ってきた演繹的方法は、研究対象の多様性に十分に対応できないという認識が高まり、既成の理論の検証ではなく、現象の新たな側面を発見し現場での情報、データに基づいて新たな理論を生成する帰納的方法が注目を浴びるようになる。それまでの実証主義と呼ばれるアプローチを中心とした「科学」的思考法と研究方法に対する異議申し立てが行われたのである。社会の中の現象にアプローチするために厳密に定義された既存の概念と理論から出発し、限定概念を使用する代わりに、問題を大まかに示すだけの「感受概念」を出発点とし、調査対象や物の見方に開放性を持たせるアプローチが質的調査の基本となっている。尚、近年、帰納的方法に加えて 発想法(仮説形成)も提唱されている。質的調査方法は、フィールドワークを中心にインタビュー、参与観察、フォーカス・グループ・ディスカッション、体系的データ収集法など多岐にわたる。(松山章子) |
用語 | 貧困削減戦略ペーパー |
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概要 |
(英語訳: PRSPs: Poverty Reduction Strategy Papers) 貧困削減戦略ペーパーは、1999年に国際通貨基金(IMF)と世界銀行によって導入された低所得国における貧困削減のための枠組みである。貧困削減戦略ペーパーの作成が、IMFと世界銀行が主導している重債務貧困国(HIPC)イニシアチブによる債務削減や債務返済のための譲与的融資を受ける条件にもなっていた。 貧困削減戦略ペーパーは、低所得国の政府により、国内のステークホルダー及びIMFや世界銀行といった外部の開発パートナーらによる参加プロセスを経た上で準備される。その内容には、その国の様々な分野の成長と貧困削減を目的としたマクロ経済的、構造的、社会的政策やプログラム、資金の必要性や主な財源、貧困削減に関する中長期的な目標とそのモニターや評価方法が含まれる。概ね3年ごとに更新され、プログレスレポートにより各年の進捗状況が報告されている。 国連ミレニアム開発目標(MDGs)の目標と共通する部分があったため、貧困削減戦略ペーパーを作成することが、その国の政策としてMGDsの目標を取り入れることにつながったとも言われている。(北島 勉) |
用語 | 識字率 |
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概要 |
(英語訳 :literacy rate ) |
用語 | 西太平洋地域事務所 |
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概要 |
(英語訳:WPRO, Western Pacific Regional Office) WPRO(西太平洋地域事務局)は、WHO(世界保健機構)の西太平洋地域の代表として、フィリピンのマニラに地域事務所を持ち、西は中国、南はニュージーランド、東は太平洋の37の国・地域に事務所を有する。人口数では、世界の三分の一の16億を超える。目的は、WHOのミッションである世界のすべての人々の肉体的、精神的及び社会的な健康を得るために、あらゆる公衆衛生問題における西太平洋地域における対応を行うことである。 近年の主な活動は、はしかとB型肝炎を中心とした拡大予防接種計画、マラリア、結核、エイズを中心とした感染症対策、新興・再興感染症対策、特に新型インフルエンザ流行に備えての緊急対策に重点をおき、世界保健規則(IHR)が発効した2007年からは、これに基づき、この地域のすべての国々がこれらの疾患の流行に対しての検知対応する最低限の能力を持つ事を目的に、アジア太平洋地域における新興感染症対策5カ年活動計画が作成した。 そのほか、小児保健、リプロダクティブヘルス、非感染症疾患対策、緊急人道援助等、幅広い活動を行っている。さらに保健システム強化のためのキャパシティビルディングにも力を入れている。 2000年から2008年まで、日本の尾身 茂氏が事務局長を勤めていた。(仲佐保) |
用語 | 複合災害 |
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概要 |
(英訳:CHE, Complex (humanitarian) emergencies) Toole M(1995)は、 Complex emergencyを種々の要因、暴動や民族的色合いを持った紛争、内戦といった緊急で、食糧不足や大規模な住民移動が重なり、多くの犠牲者を出す状況と定義した。その後、Goodhan(1999)やBurkle F(2004)らは、政治的あるいは経済的要因にも注目している。国際赤十字によると、自然災害と人為的災害といった複雑な要因が組み合わさり、権威の失墜という背景に言及している。 現在WHO(世界保健機関)によると、Complex emergencies are situations of disrupted livelihoods and threats to life produced by warfare, civil disturbance and large-scale movements of people, in which any emergency response has to be conducted in a difficult political and security environment (2002). と定義づけられ、生活の破綻と戦争、市民生活の混乱と大規模な住民移動によって引き起こされた市民の生命の差し迫った状況の中で、緊急対応が政治的にそして安全環境の困難な中実施されなければならない、という緊急対応についても付言している。(高橋宗康) |
用語 | 補完代替医療 |
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概要 |
(英語訳 : Complementary and Alternative Medicine) 補完代替医療とは、科学的に検証されておらず、西洋医学を実践する通常の病院では行なわれていない医療をさす。 補完代替医療は、インドのアーユルヴェーダや中国医学など長い歴史を持つ伝統医療から、食事療法、リラクセーション、マッサージ、カイロプラクティックにいたるまで非常に多岐にわたる。そのため、現代西洋医学以外の医療という以外に共通する特徴をあげることは困難である。近年、補完代替医療を求める患者が世界的に増加しており、それと平行してその研究も活発に行なわれるようになっている。 たとえばアメリカでは、1992年米国国立衛生研究所内に年間予算200万ドルが設立された代替医療事務局(OAM)は、1998年に国立補完代替医療センター(NCCAM)に格上げされ、2005年には年間予算1億2110 万ドルで運営されるにいたっている。補完代替医療が地域の文化に根ざしていることが少なくない。その意味で、国際医療保健に携わる者は、活動する現場でどのような補完代替医療が行なわれているかを知ることが望ましいと考えられる。 |
用語 | 行動科学 |
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概要 |
(英語訳 : Behavioral science) 第二次世界大戦後のシカゴ大学の科学者が、自然科学と社会科学を統合した見方から行動を捉えようとした際に用いられた名称。人間の個人的・集団的行動の一般法則を客観的な観察や調査によって実証しようとする学問であり、心理学、社会学、人類学を中核として、精神医学、コミュニケーション論、情報理論などの領域を含みながら、学際的に発展してきた。 国際保健医療の分野に関連が深いのは「応用行動科学(applied behavioral science)」であろう。人間の対人行動に関する諸理論(対人関係、対人的コミュニケーション、対人的影響過程、集団内行動、リーダーシップ、グループ・ダイナミックス、組織行動など)を応用して、現場で起こっている人間関係的側面の諸問題に働きかけていくものである。アプローチとしてはアクションリサーチのサイクルが用いられる。アクションリサーチの父とされるK.Lewinは、人間関係の改善のための手法としてワークショップ形式で行われるトレーニング(training)を重視した。K.Lewinのこの発想は、彼の弟子たちによって設立された米国NTL Institute for Applied Behavioral Scienceにて、人間関係トレーニング(Human Relations Training、正式名称:ラボラトリー方式の体験学習)として、また、民主的でヒューマニスティックな組織づくりをめざした組織開発(Organization Development)として発展した。(中村和彦) |
用語 | 行動変容のためのコミュニケーション |
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概要 |
(英語訳:IEC, Information, Education, and Communication: IEC BCC, Behavior Change Communication) 情報・教育・コミュニケーション(Information, education, and communication:IEC)とは、 サービス利用者に対して特定の情報を伝達する方法である。サービス利用者が理解を深めて行動変化することを目指して、サービス提供側が活動を展開するということに焦点を当てている。例えば妊婦検診を広めることを目的とする事業では、情報の送り手である保健省が、受け手である妊婦に対して、TVやラジオでの宣伝や街頭ポスター、保健センターなどでの指導など、様々なチャンネルを通じて、妊婦検診の日時/場所といった情報を伝えると同時に、なぜ妊婦検診が必要なのかについて理解を深めさせ、実際に妊婦検診へ行くように働きかけることを意味する。 一方、行動変容のためのコミュニケーション(Behavior change communication:BCC)では、サービス利用者が、長い間培ってきた行動や生活パターンを、より望ましいものに変えるということに焦点を当てている。例えば、コンドームの使用や禁煙などである。行動変容を促すには、知識のみならず、行動変容がその人に望ましい成果をもたらせるのだと気づかせること、さらには、その人自身が行動変容できるのだという自信を持たせることが重要とされている。具体的例として、カウンセリング、メディアキャンペーン、法制度の整備などがある。BCCとIECは類似点も多いが、厳密には異なる点もある。そのため、IEC/BCCと並列標記される場合と、別々に標記される場合とがある。(和田知代) |
用語 | 薬剤耐性 |
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概要 |
(英語訳:AMR, Antimicrobial Resistance) |
用語 | 英国国際開発省 |
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概要 |
(英語訳:DFID, Department for International Development) 英国の開発協力を中心的に担う組織として、1997年に設立され、アフリカ、アジア及び中東に対する支援を中心とした援助機関。英国の全ODA(2017年)139.3億ポンドであるが(GNI比0.7%を実現している)、その72.5%がDFIDを通じて供与されている。 優先課題(Strategic Objectives)は、「世界的平和・安全・ガバナンスの強化」、「危機に対する強靭性や対応力の強化」、「世界的繁栄の推進」、「極度の貧困への対応と最も脆弱な人びとへの支援」、「英国援助の資金に見合う価値と透明性の向上」の5つを掲げている。 英国ODAは62.4%が二国間協力(2017年)で、DFIDを通じた二国間協力のうち主要な協力相手先はアフリカ(25.9億ポンド:二国間協力の58.6%)であり、次いでアジア(15.7億ポンド:35.5%)と大部分を占めている。 保健分野は、2016年の二国間協力では人道支援、政府・市民社会についで、10.4億ポンド(12.2%)と3番目に大きい支援分野となっている。(平岡久和) |
用語 | 若年妊娠 |
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概要 |
(英語訳:Adolescent pregnancy or teenage pregnancy) |
用語 | 自殺 |
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概要 |
(英語訳:Suicide) |
用語 | 職業上の安全のおよび健康を促進するための枠組みに関する条約 |
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概要 |
(英語訳 : Promotional Framework for Occupational Safety and Health Convention) ILO(国際労働機関)の第187号条約として2006年に採択された。本条約の目的は、すべての働く人々の健康と安全の向上のために安全健康予防文化の確立を推進することである。そのために、職場における健康および安全リスク評価活動を推進し、見つかったリスクに対応する。また、政府は労働者、経営者代表と協力して5年程度の中期的な国家労働安全衛生計画を策定し実施する。その過程において、国内の労働安全衛生の現状を分析し、優先行動課題を決定して到達目標を設定する。 アジア諸国では本条約を参照しながら自国の働く人々 の健康と安全対策を促進している。ベトナム、ラオス、インドネシア、タイ、中国、モンゴル、シンガポールなどが国家労働安全衛生計画を策定し、実施を進めている。 各国はそれぞれの国家計画の枠組みの中で、労働安全衛生法の強化と効果的な実施の他に、中小零細企業、家内労働、農業、鉱山や建設業等のリスクの高い職場の対策強化、外国人労働者の労働安全衛生保護拡大等の重要課題にも取り組んでいる。 この条約により、労働安全衛生マネジメントシステムに基づいた体制と実施の継続的な改善、ならびに労働安全衛生が国としての重要課題に位置づけられることが期待されている。(和田耕治) |
用語 | 緊急産科ケア |
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概要 | →産科救急ケア |
用語 | 結核 |
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概要 |
(英語訳:TB, Tuberculosis) |
用語 | 経済開発協力機構 |
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概要 |
(英語訳:OECD, Organization for Economic Co-operation and Development) 第二次大戦後の欧州各国の経済的混乱を救済するための欧州復興計画を契機として、1948年に発足した欧州経済協力機構が前身にあたる。その後、1961年に米国、カナダが加わり、新たに経済協力開発機構が発足した。我が国は1964年に加盟。本部はパリに置かれ、1)経済成長、2)貿易自由化、3)途上国支援(これを「OECDの三大目的」という)に貢献することを目的としている。「開発援助委員会」は開発援助を促進するとともに、援助の効果向上を目的とする、経済協力開発機構の委員会である。(山本太郎) |
用語 | 経済破綻効果 |
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概要 |
(英語訳:Catastrophic Effectまたは、Catastrophic Health Expenditure) |
用語 | 経済協力開発機構 |
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概要 |
(英語訳 : Organization for Economic Cooperation and Development) 欧州経済復興促進のため1948年に発足した欧州経済協力機構(OEEC)が改組され、61年9月、経済協力開発機構(OECD)として発足。事務局はフランスの首都パリ。OECDの目的は、経済成長、開発途上国援助、貿易の拡大にあり、目的達成のために加盟国相互間の情報交換、コンサルテーション、共同研究と協力を行う。近年雇用問題、多国籍間の投資協定の策定、ウルグアイ・ラウンド後の貿易問題、規制緩和などに取り組んでいる。2003年時点の加盟国は30カ国(ほかに準加盟国としてユーゴスラビア)。当初は先進国クラブとよばれたが、メキシコ、韓国、東欧諸国の加盟により新たな特色を打ち出すべく模索中である。 最高機関は閣僚理事会と常駐代表会議から成る理事会。理事会は、14カ国から成る執行委員会(この内アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、日本、カナダの7カ国は常任)を選出、全加盟国が国際経済の重要問題を審議する新執行委員会を設置する。下部機構に経済政策委員会、貿易開発委員会、開発援助委員会(DAC)の3大委員会をはじめ、合計35の委員会がおかれている。 |
用語 | 経口補液療法・経口補水薬 |
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概要 |
(英語訳:ORT・ORS , Oral Rehydration Therapy・Oral Rehydration Salts) 経口補液療法(ORT)とは、下痢症により引き起こされた脱水を治療する手段である。歴史は1940年代までさかのぼり、大量の水様性下痢により急速に脱水に陥るコレラの治療として用いられたのがその始まりである。途上国では、病院の設備が不十分で医薬品も乏しいという事情により、経静脈輸液治療が実施できない場合が多い。さらには、手技の未熟さや経験不足のため、急速な輸液による心不全や静脈ルートからの感染など経静脈輸液に伴うリスクが大きい。このような現場で多くの子どもたちを救ってきたのは、糖分、塩分を一定の割合で水に溶かして作成した溶液を経口的に補給する治療法であった。1975年には、WHOとUNICEF?が統一した組成の経口補水薬(ORS)を奨励するようになった。その後、病態に応じたナトリウム濃度など組成成分の調整、穀物をベースとしたORT 、栄養価や吸湿性についても継続して検討されている。また、ORTは下痢症の治療であるとともに「飲食」という日常の生活にきわめて密着しているということを忘れてはならない。住民たちに浸透し普及するためには、現地における受容性、食生活や離乳食習慣に配慮し、文化人類学的な側面を検討する必要がある。(中野貴司) |
用語 | 経口補液療法 |
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概要 |
(英語訳 : ORT, Oral Rehydration Therapy) 経口補液療法とは、下痢症により引き起こされる脱水を治療する手段である。 歴史は1940年代までさかのぼり、大量の水様性下痢により急速に脱水に陥るコレラに対する治療として最初に用いられた。途上国では、病院の設備が十分でなかったり医薬品が入手できないという事情により経静脈輸液治療が実施できない場合は多い。 さらには、手技の未熟さや経験不足のため、急速な輸液による心不全や静脈ルートからの感染など経静脈輸液に伴うリスクが大きい。このような現場で多くの子どもたちを救ってきたのは、水、糖分、塩分を一定の割合で溶かした経口的に補給される溶液であった。1975年にはWHOとUNICEFが統一した組成の経口補液療法用の糖塩分溶液(Oral Rehydration Salts, Oral Rehydration Solution, ORS)を奨励するようになった。その後、病態に応じたナトリウム濃度など組成成分の調整、穀物をベースとしたORT、栄養価や吸湿性についても継続して検討されている。また、ORTは下痢症の治療であるとともに「飲食」という日常の生活にきわめて密着しているということを忘れてはならない。 住民たちに浸透し普及するためには、現地における受容性、食生活や離乳食習慣に配慮し、文化人類学的な側面を検討する必要がある。 |
用語 | 精神保健 |
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概要 |
(英語訳:Mental Health and Well-being) WHO(世界保健機関)は、精神保健を「個人が、それぞれの可能性を実現し、日々の通常のストレスに対処でき、生産的かつ有意義に働くことができ、自身のコミュニティに貢献することができるようなウェルビーイングの状態」としている。WHOの健康の定義(1946)や国際人権規約が定める健康権(1966)にも精神保健が含まれている。国際行動計画である「包括的メンタルヘルスアクションプラン2013-2020」(WHO、2013)では、国際疾病分類ICD-10の「精神および行動の障害」を精神疾患と捉え、うつ病、双極性感情障害、統合失調症、不安障害、認知症、物質使用障害、知的障害、自閉症を含む児童期および青年期に通常発症する発達および行動の障害、自殺やてんかん等を含む。WHOは、精神疾患の生涯有病率を4人に1人、精神保健への$1の投資が$4の利益を生むとしている。青年女子の死因1位が自殺であること等を踏まえ、国連「持続可能な開発目標(SDGs)」(2015)では 、目標3に「精神保健及び福祉」の促進(ターゲット3.4)及び薬物・アルコール等「物質乱用の防止・治療」の強化(3.5)が含まれ、国際の優先事項となった。国連障害者権利条約(2006)にも、身体的及び感覚的機能障害と共に精神的及び知的機能障害が含まれている。今後は、従来の医学モデルに代わる障害者権利条約の社会モデルに基づき、地域における分野横断的で統合的なアプローチによる、精神障害のある人々の人権保護・促進及びウェルビーイングの向上が急務である。(井筒節・堤敦朗) |
用語 | 粗死亡率 |
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概要 |
(英語訳 :CMR, Crude Mortality Rate) |
用語 | 米国疾病管理予防センター |
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概要 |
(英語訳:CDC, Centers for Disease Control and Prevention) 米国疾病管理予防センターは、米国民の健康改善のため、疾患の予防と管理、環境衛生、健康増進、健康教育活動を行う米国の政府機関。米国保健社会福祉省(Department of Health and Human Services)の下部組織にあたる。組織は, 長官局(Office of the Director)の下、州・部族・地方・地域支援局(Office for State, Tribal, Local, and Territorial Support), 公衆衛生に関する科学的サービス局(Office of Public Health Scientific Services), 非感染症・外傷・環境衛生局(Office of Noncommunicable Diseases, Injury, and Environmental Health), 感染症局(Office of Infectious Diseases)から構成される。長官は、Robert R. Redfield博士(2018年3月27日現在)(中島一敏) |
用語 | 米国国際開発庁 |
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概要 |
(英語訳: USAID, United States Agency for International Development) 米国政府において、世界の貧困の終焉、強靭かつ民主的な社会の実現を理念として、ジョン.F. ケネディ大統領時代の1961年に設置された機関。本部はワシントンD.C。 米国の利益の拡大と開発途上国における生活の向上という2つの目的を持つ米国の対外支援政策の実施を行い、100か国以上に支援を提供している。USAIDの事業実績は約131億ドル(2017年)で、保健に対する支出はHIV/エイズ対策を中心に19.4億ドル(約15%)を占めている。 支援分野は、経済成長、民主化と良い統治、人権、グローバルヘルス、食糧安全保障と農業、持続的な環境、教育、紛争予防と復興、人道支援と多岐にわたっている。そのうち、グローバルヘルスに関しては、家族計画、母子保健、マラリア対策や栄養に関する「母と子の死亡の予防」、米国大統領緊急エイズ救援計画(U.S. President's Emergency Plan for AIDS Relief: PEPFAR)の主要実施機関として「HIV/エイズ蔓延のコントロール」、結核対策や顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Disease: NTD)に新興感染症対策を含めた「感染症への対策」の3つの優先戦略事項を掲げている。(平岡久和) |
用語 | 短期直接監視下治療 |
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概要 | →直接服薬確認短期化学療法 |
用語 | 直接監視下治療 |
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概要 | →直接服薬確認短期化学療法 |
用語 | 直接服薬確認短期化学療法 |
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概要 |
(英語訳 : DOTS, Directly Observed Treatment, Short Course) DOTSは“Directly Observed Treatment, Short Course”の略称で、1994年にWHO(世界保健機関)が作成した「効果的な結核対策のための枠組み」(Framework for Effective Tuberculosis Control)に提示された結核対策の戦略であり、以下5つの政策要素から構成されている。 (1)全国を網羅した既存の制度の中での結核対策を強化するため、政府が強力に取り組む。 (2)有症状受診者に対する喀痰塗抹検査により結核患者を発見する。 (3)標準短期化学療法による6~8ヶ月間の適切な治療を服薬確認しつつ提供する。 (4)薬剤安定供給システムを確立する。 (5)地域における結核対策の実施状況をモニタリングし、定期的に評価するために、結核患者台帳を整備し、それに基づく患者の発見と治療結果のまとめとを報告するシステムを確立する。(大角晃弘) |
用語 | 疾病負荷 |
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概要 |
(英語訳 : Global Disease Burden) 世界中で、疾病により失われた生命や生活の質の総合計を「疾病負荷(GBD: Global Burden of Diseases)」という。 傷害や生活の質の度合いを考慮した健康指標として「健康寿命」、「質を考慮した生存年数(QALY: Quality -Adjusted Life Years)」、「失われた生活年数(YPLL: Years of Productive (or Potential) Life Lost)」、「障害と共に生活する年数(YLDs: Years Lived with Disability)」などの指標が使われている。 QALYを使った事例として、ガンによる生存年数が3年であった場合、後遺症が残れば効用値(重み付け)である0.5を掛けて3×0.5=1.5年と計算する。QALY等の効用により重み付けされた健康指標は費用効果分析などに活用される。 |
用語 | 産間調節 |
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概要 |
(英語訳: Birth Spacing) 出産間隔が短いと母体への負担が大きく、また十分な授乳期間や育児時間が確保できないことで子供への影響も大きい。特に産後1年以内の妊娠は、母児ともにリスクが高く、早産、低出生体重、胎内発育不全などのリスクが高くなると言われている。出産間隔を24か月以上あけると5歳未満児死亡が13%、36か月あけると25%減少するという。このため出産間隔をあけることが推奨され、これをbirth spacingと呼ぶ。 家族計画(Family Planning)が家族のサイズ、すなわち子どもの数を調整する志向を持つのに対し、産間調節は出産間隔をあけるという点を強調する。子供の人数を制限するという考え方が好まれない文化では、birth spacingという表現を選択的に使う場合もある。しかし、産間調節は家族計画の一部であり、家族計画を達成する手段である。WHOではPostpartum Family Planning (PPFP)の重要性を強調しており、産後に次の出産までの間隔をあけるよう指導することを強調しているが、PPHPにおいても産間調節という概念は重要である。(柳澤理子) |
用語 | 産科救急ケア |
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概要 |
(英語訳 : Emergency Obstetrics Care) 妊産婦死亡を減らすために熟練した専門技能者(Skilled Birth Attendant:SBA)による分娩介助が必要であり、その熟練した専門技能者の分娩介助の下で緊急時に必要とされるケアを緊急産科ケア(Emergency Obstetric Care:EmOC)という。また、分娩周辺期のケアは新生児死亡にも大きく関わることから、緊急産科新生児ケア(Emergency Obstetric and Newborn Care: EmONC)ということが多い。 緊急産科新生児ケアは基礎的ケア、包括的ケアとレベルによって分けられている。 1)基礎的緊急産科新生児ケア(Basic EmONC) 抗生剤・子宮収縮剤・抗痙攣剤の使用、胎盤の用手摘出、流産等の子宮内遺残物の除去、吸引分娩等の器械的分娩補助、基礎的な新生児蘇生 2)包括的緊急産科新生児ケア(Comprehensive EmONC) 帝王切開、安全な輸血、仮死児の蘇生や低出生体重児のケア 人口50万人につき緊急産科新生児ケアを提供できる施設が最低5施設あること(うち1施設は包括的緊急産科新生児ケアが提供できる)、すべての女性が直接的産科合併症のケアを受けられること、全分娩に占める帝王切開率が5-15%であること、直接的産科合併症による死亡が施設で1%未満であること、が指標として最低限目標とすべきレベルとされている。(松本安代) |
用語 | 産科ろう孔 |
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概要 | →フィスチュラ |
用語 | 産前健診・妊婦健診 |
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概要 |
(英語訳:ANC, Antenatal Care or Prenatal Care) 妊婦およびその胎児の健康状態や社会経済状況のスクリーニングとケアを行うこと。 一般的なスクリーニング項目は、体重、血圧、腹部(子宮)の計測、胎児心音の聴取、尿検査等である。医師、助産師、および産前健診に必要な技術をもった保健医療職員が妊娠・出産に伴うリスク因子を査定し、リスクの程度に応じた妊娠期の生活指導や出産場所を検討する。途上国では特に、破傷風の予防接種、貧血の予防・治療、HIV 陽性者へのART(抗レトロウィルス療法)、マラリアの予防・治療などの機会として重要である。 その他、栄養、母乳育児、生活習慣や妊娠中の危険な徴候についての指導も行う。産後ケア(Postnatal Care: PNC)とともに周産期死亡率の低減および肯定的な出産体験に不可欠とされ、WHOは妊娠中に最低 8回の産前健診を推奨している。産前健診の実施率(Antenatal Care Coverage: ANC Coverage: 15~49 歳の女性で、妊娠中に少なくとも 1 回、助産専門技能者によるケアを受けた女性の比率)は、妊娠期のヘルスケアへのアクセスと利用に関する指標の1つであり、国・地域で格差があるだけではなく、同国内の居住地や世帯資産によっても大きな格差がある。(小黒道子) |
用語 | 生活習慣病 |
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概要 |
(英語訳:Noncommunicable Diseases;NCDs /Chronic Diseases/Lifestyle-related Disease) 脳卒中や癌、心疾患、糖尿病、高血圧症、動脈硬化など、その発症や進行に、食生活や運動、喫煙、飲酒などの生活習慣が深く関係するとされる疾病の総称。従来は、加齢に伴って増加することから「成人病」と呼ばれてきたが、発症時期が低年齢化していることや、予防のためには生活習慣が重要であるとする立場から、1997年、厚生省(当時)は新しい名称を導入した。これに伴い、疾病の早期発見・早期治療といった二次予防中心の対策から、生活習慣の見直しや支援的な環境づくりによる発症の予防といった一次予防中心の対策が重視されるようになった。 国際的には非感染性疾患(Noncommunicable Diseases;NCDs)、慢性疾患(Chronic Diseases)と呼ばれ、WHOは、全死亡のうち270万は果物と野菜の摂取不足、190万は運動不足に起因しているとして、2004年に「食事、身体活動、健康に関する世界戦略Global Strategy on Diet, Physical Activity and Health (DPAS).」を採択した。 加盟国政府や国際機関、市民集団、NGO、民間セクターなどの関係者に、健康的な食事や身体活動などのライフスタイルを促進するための国家政策、計画、プログラムの実施を促進するよう呼びかけ、それらの実施・運営支援のために、データベースの整備や、モニタリング・評価の枠組み、身体活動を増やすポピュレーションベースアプローチのガイド、適切な野菜・果物の生産・消費のためのより効果的な介入、職場における非感染性疾患対策などに関する資料を提供している。先進国の問題と思われがちであるが、糖尿病による死亡の80%は、中・低所得国で起こっており、途上国にとっても深刻な問題である。(西田美佐) |
用語 | 環境社会学 |
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概要 |
(英語訳 : Environmental Sociology) |
用語 | 狂犬病 |
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概要 |
(英語訳:Rabies) 狂犬病ウイルスはイヌ以外にも多数の野生動物が保有し、これらによる咬傷、稀には噴霧気道感染により感染する。全世界では、毎年数万人が狂犬病によって死亡しているといわれ、アジア地域での発生が最も多い。 わが国では2006年、30数年ぶりに2名の患者が報告されたが、フィリピンでの受傷であった。感染から発症までの潜伏期間は個々の症例で異なるが、一般的には1~2カ月である。発熱、頭痛、倦怠感、筋痛などの感冒様症状ではじまり、咬傷部位の疼痛やその周辺の知覚異常、筋の攣縮を伴う。中枢神経症状は運動過多、興奮、不安狂躁から始まり、錯乱、幻覚、攻撃性、恐水発作等の筋痙攣を呈し、最終的には昏睡状態から呼吸停止で死にいたる。狂犬病は一度発症すれば、致死率はほぼ100%である。 狂犬病が疑われるイヌ、ネコおよび野生動物にかまれたり、ひっかかれたりした場合、まず傷口を石鹸と水でよく洗い流し、医療機関を受診する。必要に応じて、狂犬病ワクチン(曝露後免疫)・抗狂犬病ガンマグロブリンを投与する。 狂犬病は一旦発症すれば特異的治療法が無いので、できるだけ早期にワクチンとガンマグロブリンで対処する必要があるが、国内では抗狂犬病免疫グロブリン製剤は入手できない。予防目的でのワクチン接種(曝露前免疫)も有効である。(中野貴司) |