国際保健用語集

用語 クワシオコール・マラスムス
概要 (英語:Kwashiorkor ,Marasmus)

クワシオコール、マラスムスは、重度低栄養の病態分類である。クワシオコールは主にタンパク質の摂取不足が原因とされ、体重減少は比較的少なく、特徴的な両足の浮腫をもって診断される。一方マラスムスはエネルギー摂取不足が原因とされ、体重減少が極めて顕著であるため、身長対体重が70パーセンタイル未満あるいは -3SD未満で診断される。しかし実際には両病態を合併する場合(マラスミッククワシオコール)も少なくない。コミュニティにおいては、簡易的に上腕周囲径(MUAC:Mid-upper Arm Circumference)を測定し、スクリーニングすることもある。

これらの重度低栄養は特に小児に多くみられ、低血糖症、低体温症、各感染症、重度電解質平衡異常などの、小児にとっては生死にかかわる疾病をきたすことも多い。このため一連の治療計画として、アセスメント、治療、マネジメント、規則的な栄養供給、そしてモニタリングが必要である。回復には数週間を要し、低栄養状態が繰り返すことのないよう、計画的な退院を実施する。さらに近年では、WHOUNICEF?により、ビスケットやペーストのようなすぐ食べられる治療食(RUTF:Ready to use therapeutic foods)を使用し、合併症のない重度低栄養の子どもを対象としたコミュニティベースの試みも始められている。(野村真利香)