国際保健用語集

用語 GAVI(ワクチンと予防接種のための世界同盟)
概要 (英語訳;GAVI, The Global Alliance for Vaccines and Immunization)

貧困地域に住む子どもたちの命と健康を守ることを目的として、十分に普及していないワクチンや新しいワクチンを届けるために、2000 年に結成された同盟で、事務局はスイスのジュネーブにある。開発途上国及び先進国政府、ワクチン製造会社、NGOs、研究機関、ユニセフWHO、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団、世界銀行など公的および私的組織により構成されている。1974年に始まった拡大予防接種計画(EPI)により、感染症の予防手段であるワクチンは世界に普及し、基本的な6種類のワクチンの接種率は80%にまで達したとされた。しかし1990年代にその普及の進展は頭打ち状態となり、当時は子どもたちをさらに守ることのできる新しいワクチンも開発されたが、それらは貧困地域には浸透せず、世界の中での格差は広がるばかりであった。新しいワクチンは、非常に高価であるという問題点も存在した。先進国では10種類を超えるワクチンが乳幼児に接種されていたにもかかわらず、開発途上国では基本的なワクチンさえ届いていない地域もあった。この状況を打破するために、公的組織と私的組織が一緒になって活動する本同盟が発足した。現在GAVIが掲げる主な活動目標は、1.世界全体の接種率向上、2.保健医療システムにおける予防接種の有効性と能率性の強化、3.国の予防接種プログラムの維持、4.ワクチンや関連製品の市場の形成である。また、「予防接種のための国際金融ファシリティ(IFFIm)」による「ワクチン債」の発行による革新的な資金調達も行ってきた。(中野貴司)