国際保健用語集

用語 母子健康手帳
概要 (英語訳:Maternal and Child Health Handbook)

日本では、1942年に作成された「妊産婦手帳」をもとに、1948年に「母子手帳」が作られ、現在では「母子健康手帳」に発展した。妊娠、出産、子どもの健康の記録が一冊にまとめられ、健康教育教材としての種々のメッセージを含み、両親の手元で保管される母子健康手帳は、妊産婦ケアと新生児・小児ケアをつなぐ有用なツールとして国際的に注目を集めている。

1994年に国際協力機構(JICA)の協力によりインドネシアにてイラストや図を豊富に盛り込んだインドネシア版母子健康手帳が開発され、その後インドネシア全土に普及した。現在、母子健康手帳が使用されている国はタイ、韓国、東ティモール、ニジェール、セネガル、チュニジアなどがあげられ、プロジェクトとして開発されている国や地域は、ベトナム、バングラデシュ、ラオス、カンボジア、パレスチナ、ドミニカ共和国、ユタ州(米国)など世界に広がっている。

母子健康手帳は個別に実施されてきた母子保健サービスを統合する有力な家庭用記録媒体(home-based record)であるが、単に配布するだけでは不十分である。母子保健医療関係者が母子健康手帳を活用して、健康教育や保健医療サービスを実施することにより大きな効果を得ることができる。(中村安秀)
参考 MCH Symposium