国際保健用語集

用語 口腔清掃状態
概要 (英語訳:oral hygiene status)

う蝕や歯周病に代表される歯科疾患は、いずれも口腔細菌叢のなかのある種の細菌が異常に増殖することによって歯の周囲に歯垢(デンタル・プラーク)が形成され、これが原因となって発生する。この歯垢の形成能の最も高い基質は、砂糖(ショ糖)であり、食べている限り、生涯、歯科疾患発病のリスクは伴い、特に唾液分泌量の低下や口腔清掃状態の悪化はそのリスクをさらに増大する。この歯科疾患の予防は、歯の喪失の防止に直結する。そして口腔清掃状態の改善は、歯科疾患の予防だけでなく、要介護者に対する誤嚥性肺炎を予防することが明らかなっている(Yoneyama T et al.,1999)。

口腔清掃状態の評価法には、質問紙法あるいはインタビューによって、口腔清掃行動を評価する方法と口腔内を診査するものがある。後者の代表的な指数にOHI(Oral Hygiene Index, Greene JC and Vermillion JR, 1960)およびこれを簡便化したOHI-S(Simplified Oral Hygiene Index, Greene JC and Vermillion JR, 1964)がある。これらは、Debris index(歯垢)とCalculus index(歯石)の合計点で表される。口腔を上下顎、前歯部左右臼歯部で6区分し、DI,CIいずれも0~3点で評価する。OHIは、各区分の唇頬側および舌側の最高値の合計点の総和を検査した区分数で除した数値であり、最低0点から最高値12点である。OHI-Sは、上顎右側中切歯、左右第一大臼歯、下顎左側中切歯の唇面および下顎左右第一大臼歯舌面の6歯面を診査する。OHI-SのScoreは、0~6点である。(深井穫博)